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団長は頷くと、苦々しく言った。
「ふむ…これ以上被害が増える前に、一旦退くか…副官、退却の笛を」
「はっ!」
副官は腰から提げていた角笛を取り出すと、退却の際に鳴らす音色を奏でだした。周辺にその音は響き渡り、帝国軍は退却を始めた。しかし、スピードが遅い。体力を使ったせいで進みが遅いのだ。
その際、時間稼ぎの為か前線部隊から再び矢が大量に射られた。前回放った時も飛距離が足りず、敵の天幕にすら到達せず、被害は殆どでていないようだった。
今回もまた失敗し、天幕の手前の陣地に降り注ぐ。そして、雨のように降り注ぐ矢をものともせず、謎の物体が、敵陣地から進み出てきた。
「ん?あれは…?」
団長は目を疑った。遠目に見ても、この世界の常識とはかけ離れた姿をしていた。
大きい箱の上に小さい箱が乗り、小さい箱からは謎の柱が突き出ている。アストラニア軍の戦車だった。
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