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団長は、若い頃に南方の国へ遠征した経験があり、そこで見た象の姿を戦車の砲塔から連想した。若い頃、敵軍の戦象部隊に追い回された記憶が蘇り、団長は渋い表情をした。
――象というには背が低いか?
そう団長が考えた矢先、目の前で信じられない事が起こった。象?の鼻先が火を吹いたのだ。一瞬の閃光に目をくらませ、団長は慌てて目をこする。
象が火を吹いた瞬間、退却中の部隊が吹き飛んでいた。部隊がいた辺りの土煙を見て、団長は顎が落ちそうになった。その頃になって、くぐもった雷のような音が団長の耳に届いた。ズズン…という音に味方は混乱をきたし、てんでバラバラの方向へ逃げ始めた。
「な…んだ…あれは…」
隣で同じものを見ていた副官が呆然と呟く。団長も全く同じ心持ちであった。
――上級魔法並みの威力だ…魔法を使える象などいたのか…!?
耳に届いた砲声に、我にかえった団長の視界に、吹き飛ぶ味方の姿が見えた。
――とにかく、今すぐアレを潰すしかない!
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