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何事かとレントが戦車をよく見ると、サイドスカートが無残に破壊されて、履帯がぶらぶらしているのが確認できた。
「どうした戦車~、剣と弓でやられたのか~?」
別の所から見ていた兵士が戦車兵にそう言ってヤジを飛ばす。戦車兵は不機嫌そうに返事を返していた。
「ばか、剣や弓でこんなんになるわけ無いだろ!なんかいきなり破裂したんだよ!」
「破裂ぅ?」
いきなり破裂した、と言う言葉にレントは何かが引っかかった。小走りでその戦車に駆け寄り、戦車兵に声をかける。
「その話、もう少し詳しく聞かせて貰えるか?」
「ん、まぁ、いいけど」
そう言って、戦車兵は状況を説明し始めた。
「正直俺たちも何があったかさっぱりなんだ。いきなりサイドスカートと履帯が吹っ飛んで…確認したんだが爆発物でやられたんじゃないようなんだ。爆薬も使わず装甲を破壊するなんて、まるで魔法だな」
「本当に魔法かも知れんぞ」
戦車兵は、一瞬きょとんとした後、首を横に振りながら笑った。
「はは、まさか。じゃあ、戦車を修理に出してくるよ」
そう言って戦車兵は片手を振る。戦車回収車は排ガスを吹きながら再び進み始め、戦車をキャンプの奥に持って行った。
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