8296人が本棚に入れています
本棚に追加
アキは呆然とキャンプ内を歩いていた。目の前を担架に乗せられた兵士が運ばれてゆく。彼の腹にはなんと矢が突き立っている。
「い…いてぇ!は、早く抜いてくれぇ!」
「今抜くのは危険だ!治療をもうちょっとで受けられる、我慢しろ!!」
そんな会話をしながら、通り過ぎていった。アキの鼻孔に、血の臭いが届く。
「……何があったの…?」
レントが別れ際に言っていた配置の話を思い出し、アキは近くにいた兵士にレント達の配置を聞いた。
「教えて欲しいんだけど、117小隊はどこに配備されたの?」
「…え?」
兵士はちらりとアキの階級章を見ると、敬礼してから質問に答えた。
「はっ!たしか、117小隊は、キャンプ外周の防衛陣地の配置だったと思います!」
「分かった、ありがとう」
アキは一等兵に礼を言うと、外周の防衛陣地に向けて走り始めた。
・
最初のコメントを投稿しよう!