第8章》騎士団迎撃

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 その頃、フレグ達は地味な作業を延々と繰り返していた。  地面から矢を抜き、やられた兵士の遺体を並べる作業だ。フレグとデールは最初、嫌がっていたが、今では手に血がつくのも構わず遺体を運んでいた。 「フレグは足持って下さい」 「あいよ。…せぇ、のっ!」  かけ声を合わせて持ち上げた兵士の遺体を、防御陣地の脇まで運び、丁寧に降ろす。少し前まで死体なんて触った事も無かった2人は、最初は見る度に吐いていたが、今では平気で死体を触れるようになっていた。  目の前で人が一瞬で死んだのを前触れなく見たせいか、感覚が麻痺したのかも知れない。デールは他人の血がべったりと付いた手を、無表情で野戦服の裾で拭った。  地面にまだまだ突き刺さっている矢を見てフレグはため息をついた。 「しっかし、今時弓矢で攻撃とか、相手はどれだけ未開なんすか…」 「しかし、土嚢の壁しか無い陣地には、非常に有効な攻撃かもですよ。山なりに飛んできますし」
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