8296人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁ、実際、レントの機転が無けりゃ今頃俺らもやられてたし…」
防御陣地の横に山積みになっている自分達が抜いた矢の山を見て、デールは頷いた。
「鉄条網の敷設位置がキャンプに近い所だったのもまずかったね、銃相手なら十分な配置だった筈なんだけど…」
「信じらんねぇ、弓っすよ、弓!」
「現代戦であんなふざけた装備、存在しません。なんかやっぱりおかしいですよ、ここ」
草原に突然飛ばされた時点で明らかにおかしいのだが、やはり2人は今の異常事態を信じたく無いのだ。
2人がそんな事を話していた時、走ってレントが帰ってきた。妙に焦った声でフレグに尋ねる。
「副隊長は来てないか?」
「いえ、来てねっす。野戦病院じゃ?」
「それが、居なくなったらしくてな、今、探してんだ。」
フレグは驚いて、あわてだした。
「ま、まじっすか!?こんな得体の知れない土地でふらふらされたら危ないっすよ!?」
慌てふためく2人。そんな2人に、デールは冷静に、あるものを持ち上げた。無線機だった。
「いや、連絡とればいいじゃないですか」
「「………」」
一瞬ぽかんとして、レントとフレグは顔を見合わせる。そして、デールに向き直った。
「「それだ」」
その時、デール達の無線が空電音を放った。
『こちら、アキ。最初から無線使っとけばよかった…現在地を知らせ』
3人はため息をついた。デールが呟く。
「皆判断力鈍りすぎですよ…今日はもう休んだほうがいいですね…」
そして無線に応答すると、現在位置を知らせ始めた。
・
最初のコメントを投稿しよう!