第9章》ユグドラシル

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 少し古い型のナイフだ。目の前に立っている兵士を刺し殺した時のナイフ。 「……っ!?」  入口に立つ兵士の腕がのろのろと上がる。その手には拳銃が握られていた。耳がごうごうと鳴る。冷や汗が滝のように流れる。手が動かない。足が動かない。顔を凝視しても何故かぼんやりとして分からない。 「………!!」  のろのろと上がった銃口が、クロムの心臓をぴったりと狙った。兵士の口が動く。 「…クロム殿…」  その声を聞いた時、クロムははっきりと兵士の顔を理解できた。 「あんたは…バス…」  バス。カルヴァンの騎士団長の顔だった。クロムは驚愕で声がかすれる。 「………!?」 「……何故……私の亡骸をあそこに捨てていったのか…」 「それは…あの時は、仕方無く…」 「問答…無用…」  バスはそう呻くと、拳銃の引き金を引いた。 ・
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