第9章》ユグドラシル

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 腰まであるんじゃないかと思えるほどの長さの金髪。やけに整っていて違和感すら感じる顔、色素の薄い水色の瞳からは、感情らしき物は読みとることができなかった。美人ではあるが、生気が感じられない美しさでもあった。 「だ…誰だ、お前は?」 「私はアストラニア陸軍所属のシグマです」  シグマと名乗る女は、確かにアストラニア陸軍の野戦服を着ていた。しかし、階級章、部隊章の類の身分証明になるものは一切付いていない。 「し、シグマ…?ええと…階級は?」 「ありません」  「………は?」 ――なんだこの女は…階級無しってどういう事だ?ていうか、このアングル…  そこでクロムは、ふと気づいてしまった。  この柔らかい感触、そして、シグマとか言う女の顔が自分の顔の真上にある。クロムの顔が熱くなる。結論にいたったのだった。 「…もしかして、俺、今膝枕されてる?」 「はい。それが何か?」  シグマは首を微妙に傾けながらそう言った。膝枕をする事がさも当然のような言い方だった。しかも完全な無表情でだ。
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