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腰まであるんじゃないかと思えるほどの長さの金髪。やけに整っていて違和感すら感じる顔、色素の薄い水色の瞳からは、感情らしき物は読みとることができなかった。美人ではあるが、生気が感じられない美しさでもあった。
「だ…誰だ、お前は?」
「私はアストラニア陸軍所属のシグマです」
シグマと名乗る女は、確かにアストラニア陸軍の野戦服を着ていた。しかし、階級章、部隊章の類の身分証明になるものは一切付いていない。
「し、シグマ…?ええと…階級は?」
「ありません」
「………は?」
――なんだこの女は…階級無しってどういう事だ?ていうか、このアングル…
そこでクロムは、ふと気づいてしまった。
この柔らかい感触、そして、シグマとか言う女の顔が自分の顔の真上にある。クロムの顔が熱くなる。結論にいたったのだった。
「…もしかして、俺、今膝枕されてる?」
「はい。それが何か?」
シグマは首を微妙に傾けながらそう言った。膝枕をする事がさも当然のような言い方だった。しかも完全な無表情でだ。
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