第9章》ユグドラシル

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 自身を包む柔らかい感触に、絶対にドロイドじゃないだろと思いつつも、クロムは視線で素早く状況を確認した。  フロントガラスに弓矢が突き立っている。突き刺さった矢を中心に放射状にヒビが広がっており、矢じりは運転席のドロイドの顔面パーツにめり込んで止まっている。回路をやられて急停車したのだろう。 「敵襲だ!降りるぞ!」 「了解」  痛みを堪えつつ自身の武器を探すクロム。しかし、次の瞬間には自分の武器がスタームに粉砕されたことを思い出し、舌打ちした。 「クソっ、スタームめ…シグマ、銃は余ってないか!?」  シグマはすぐさま後部スペースから廃墟で見た物によく似たオリーブドラブ色のトランクを引きずり出すと、クロムに渡した。 「中にアサルトライフルが入っています。組み立ててください」 「えぇ!?なんで組みあがった奴が無いの!?」 「私が時間を稼ぎます。その間に組み立ててください」 「おい!?」  そう言うやいなや、車のドアを開けて悠然と外に降り立つシグマ。途端に矢が降ってくる。2、3本の矢が地面に軽やかな音と共に突き立った。 「わ、馬鹿!身を隠せ!」
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