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自身を包む柔らかい感触に、絶対にドロイドじゃないだろと思いつつも、クロムは視線で素早く状況を確認した。
フロントガラスに弓矢が突き立っている。突き刺さった矢を中心に放射状にヒビが広がっており、矢じりは運転席のドロイドの顔面パーツにめり込んで止まっている。回路をやられて急停車したのだろう。
「敵襲だ!降りるぞ!」
「了解」
痛みを堪えつつ自身の武器を探すクロム。しかし、次の瞬間には自分の武器がスタームに粉砕されたことを思い出し、舌打ちした。
「クソっ、スタームめ…シグマ、銃は余ってないか!?」
シグマはすぐさま後部スペースから廃墟で見た物によく似たオリーブドラブ色のトランクを引きずり出すと、クロムに渡した。
「中にアサルトライフルが入っています。組み立ててください」
「えぇ!?なんで組みあがった奴が無いの!?」
「私が時間を稼ぎます。その間に組み立ててください」
「おい!?」
そう言うやいなや、車のドアを開けて悠然と外に降り立つシグマ。途端に矢が降ってくる。2、3本の矢が地面に軽やかな音と共に突き立った。
「わ、馬鹿!身を隠せ!」
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