第9章》ユグドラシル

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 降ってきた矢の殆どが地面に突きたったが、その内の一本がシグマの肩に突き刺さった。 「うわっ!お、おい!」 「攻撃方向を特定。迎撃します」  慌てるクロムに構わずシグマは側にあった石をひょいっと片手で拾いあげると、矢の飛んできた方向に投擲した。  石と言っても、人間の頭ほどもある石を、だ。普通の人間なら持ち上げるだけでもきつい物を、片手だけで軽々と持ち上げ、小石でも投げるようにぶん投げたのである。 「な…」  驚くクロムの耳に、水っぽいグチャッという音と男のくぐもった悲鳴が届いた。どうなったかは見たくもない。 「アルシティ少尉、武器の組み立てを急いで下さい、敵は他にもいると思われます」 「あ…あぁ!分かった!」  とりあえずは目先の安全を確保しなければならない。質問は後だ。クロムは痛みを堪えながら再びアサルトライフルの組立にはいった。  ケースの開け方がいまいち分からずガチャガチャしながらクロムはぶつぶつぼやく。 「くそっ、この世界に来てからこんなんばっかりだ!」
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