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最後にもう一度カルヴァン城を見やると、王女…いや、女王リーナは騎士達に振り向いた。
「さぁ、離れましょう。もうすぐここにも追っ手が来ます」
そう言うとリーナは馬に跨がった。もはや3人となった自身の配下を振り返る。
バス。カルヴァン騎士団の団長。いかめしい顔をしているが博識で、幼い頃のリーナの教育係だった。
ルルゥ。栗色の髪を肩に届くかどうかという辺りまで伸ばし、騒動のせいかやや乱れている。強気そうな瞳は濃緑。王室魔導師になるほど頭がよく、好奇心旺盛。そして、リーナの幼なじみだ。
テノールは、見た目はこれといった特徴も無く、正直頼りないが、剣技だけは確かで王室への忠誠心は人一倍と自負しているらしい。
確かに3人とも頼もしい。この采配は父からの最後の贈り物だろうと、リーナは思った。
「あと、皆に頼みがあります」
「はい」
「なんですか?」
「なんなりと」
「国を取り返し、父の敵をとるまで、私をリーナと呼びなさい。…では、行きましょう」
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