第2章》アルハン空戦

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 アルハンから数キロの地点で、ベクトル隊は空中給油を受けていた。 『ベクトル1から各機、状況を知らせ』 『ベクトル2給油完了』 『ベクトル3給油完了』 『よし、全機アルハンに戻るぞ』  数分後、ベクトル隊はアルハン上空に到達した。すでに友軍が敵と交戦しており、市街地から多数の黒煙が立ち上っていた。 『視界不良好、注意せよ』 『管制機のECCM支援は…あれ?無いのか?』  ECCMとは、簡単に言えば、自軍のレーダーが妨害されている時にその妨害電波を打ち消し、あわよくば敵のレーダーをいかれさせてやろうという戦法の事だ。強力なレーダーが必要になるので、早期警戒機や管制機、艦船などが有効にECCMを仕掛けることができる。 『真っ先にやられたってよ』 『どうりで迎撃機が混乱してる訳だ』  そんな事を言っている間に、迎撃機が一機落とされた。それをした敵機を後ろから別の迎撃機が追いかける。敵の、光さえ吸い込みそうな黒い機体には、部隊章はおろか、所属国を示すペイントすらなかった。他の敵も、全く同じだった。 『気味悪い敵だぜ』 『怯むな!所詮相手も人間だ!全機、交戦!』  かくして、アストラニア空軍と謎の敵との空中戦が始まった。
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