第3章》覚醒

3/19

8296人が本棚に入れています
本棚に追加
/627ページ
「いや、まさかな」  もし本当に核兵器だったら、今頃クロムは蒸発していたに違いない。では一体あれは何だったのか? ――というか、全く戦闘音がしないんだが…  自分の部隊が心配になってきたので、クロムは装甲車の無線を使ってみた。送話機を手に取りボタンを押すと、声を吹き込む。 「こちらアルシティ少尉。誰か居ないか?」  しかし、帰ってきたのは沈黙だった。何度も同じことを繰り返すが返答は一切無かった。 「なんで誰も応答しない!おい、誰か居るんだろ!?」  無線は空電音が鳴るだけで、誰からの返答も寄越さなかった。 ――まさか、俺だけ残して全滅?  沸き上がって来る嫌な想像を振り払い、クロムは車外にでて直接部下を探しに行くことにした。外は粉塵らしき物が漂っているので、一応ガスマスクを装着する。  そしてクロムはガスマスクのハーネスを固定しながら現在地を装甲車備え付けの衛星地図で確認しようとした。
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8296人が本棚に入れています
本棚に追加