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腹に響くドドン…という音が聞こえて、クロムはほっと胸をなで下ろしたい気分だった。
「あぁ、良かった…人がいた…」
流石に心細くなっていたので、もう敵とでもいいから出くわしたいと思っていた矢先であった。
都市の未開発地域なのだろうか、木が不規則に並ぶ間をクロムは駆け抜ける。
「何にせよ、装甲車からそんなに離れてない所で良かった…」
装備を殆ど装甲車に置いてきてしまったので、敵が多ければすぐに引き返して武器を取ってくることができるからだ。爆発音はなおも散発的に響く。急いで音が聞こえる方向に走っていると、急に白いもやが晴れ、意外な光景が目に飛び込んできた。
視界内のもやがない辺りは、空爆でも受けたかのように多数のクレーターが開いている。黒煙がまだたちのぼっているところを見ると、さほど時間は経っていないだろう。
そして、そのクレーター群の奥に、女性に何かを振り下ろそうとする黒い鎧の後ろ姿が飛び込んできた。
(敵か!?)
一般人に見える女性を助けるため、クロムはサブマシンガンを素早く構えると、鎧の背中を狙って迷い無く引き金を引いた。
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