第3章》覚醒

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ワールシュタットの森  魔法を幾らぶつけても、次々と黒い帝国兵は湧いてくる。ルルゥが消耗するのに時間はかからなかった。 「だめだ…もう魔法が撃てない…」  そう言ってルルゥはよろめき、片膝をついた。魔法は放つごとに威力に応じて体力を消耗するので、乱発はできない。特に攻撃魔法は消費が激しい。 「リーナ様…残念ですが、もうそちらに行けそうにない…でも…」 (でも、敵をできるだけ道連れにしてやる…!)  そう決死の覚悟をして、腰の後ろに差したダガーの柄を握る。帝国兵はゆらゆらと近付いてくる。最後の1体のようだったが、魔術師として修練してきたため、剣技は殆どできないルルゥでは、帝国兵を倒すことは難しいだろう。しかも今は体力を消費しすぎてふらふらの状態だ。  しかし、相討ち覚悟で目の前の帝国兵を突き刺してやろうと立ち上がりかけた、その時。  何かの破裂音がして、帝国兵の動きが止まった。  崩れ落ちる黒い鎧の後ろに居たのは、白っぽい服を着て先端から細い煙の立ちのぼる長杖を構え、奇妙な形の仮面を着けた謎の人物だった。 (……誰、あれ……?) ・
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