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クロムは、倒れた黒い鎧に銃を構えたまま近づいて生死を確認した。
鎧はバラバラになっていて、隙間から黒い煙が立ち上っている。あるはずの体は存在しなかった。
「気色悪いな…新型のドロイド兵か…?ふざけた格好だ」
何回か鎧を蹴りつけてもう動かない事を確認すると、クロムは初めて女性に注目した。
こちらも妙な服を着ていたが、生きた人間だ。髪はブラウンのセミロング、好奇心の強そうな目に、全体的にはかわいらしい顔だちをしている。身長はクロムより少し低い位だろうか。そして、地味な色合いのマントの下に革で出来ているように見える鎧。
多分、コスプレ。
恐らく民間人のコスプレイヤーか何かだろう。今日は祭だったし、こんなイベントあったんだろうかと思いつつ、一応いつでも撃てるように引き金には指をかけず、銃口を向けたまま、クロムは質問した。
「大丈夫ですか?」
「!?」
女性は驚いていたが、首を縦に振った。
「民間人はシェルターに非難してください。危険ですから」
「…………?」
意味が分からなかったらしい。クロムは、はて?と、首を軽く傾げた。アストラニア語が通じないとなると…
(もしかして外国人か?)
そう思ったクロムは思い出せる限りの外国語で
「旅行者IDかパスポートはありますか?」
と聞いた。
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