第4章》霧の森の戦い

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 テノールのロングソードが、黒い兵士の首を飛ばした。黒煙を鎧の隙間から吐き出しながら倒れる黒い兵士。既にバス達の周囲には、何体もの黒い鎧が転がっていた。だらりとした動きからは想像できないほどの速度で叩きつけられた敵の剣を、テノールは左手に装着した盾で受け止めた。  ギャリッ!という耳障りな音を出しながら、敵の剣を受け流す。 「団長!きりがないです!」 「黙って…戦え!!」  そう言いながらバスが振るった戦斧が敵をまとめて薙ぎ倒す。  しかし、続々と現れる敵に、少しずつ2人の体力は削られていった。 「くそっ、数が多い!」  バスが相手の兜を叩き割る。隣から現れた敵を戦斧の石突きで突き倒した。すでにバスは肩で息をしている。 「ぜぇ…ぜぇ…ちっ…歳にはかなわんな…」 「なんなんですこいつらは!帝国兵にも見えませんがね!」  そう言ってテノールは続いて向かってきた敵を袈裟切りにする。あまり手応えもなく、敵は黒い霧になり、鎧を残して消え去った。いらついたようにバスが答える。 「知らん!」  低空飛行で槍を突き出してきた黒いワイバーンナイトに対し、バスはその槍の柄を掴むと、無理やり引っ張り転落させ、奪った槍を突き刺した。
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