第0章》プロローグ

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 平和な空で、あの戦闘機のパイロット達も平和ボケしている頃だろう。アキが空を眺めながら言った。 「平和って、いいね」 「そうだな…俺達が守っている平和だ」  練兵場の端で、戦車が土を巻き上げながら行進訓練をしている。明日の軍事パレードの予行演習なのだろう。新旧兵器入り混じった機甲部隊が一塊になって進む姿はなかなかに迫力があった。 「…この平和、いつまで続くのかな?」 「さぁな…」  そうクロムは言うと、練兵場の隅の自販機の近くで会話している三人の部下達を眺めた。  金髪の軽薄そうな兵士はフレグ、黒縁眼鏡の兵士はデール、髭を生やした歴戦の兵士といった感じの兵士はレントと言う。  フレグとデールは最近入隊して来た。基礎訓練課程を終えたばかりのひよっこで、2人ともアルハン市内の出身だ。レントは外人部隊あがりのベテランで、数年前他国の内戦にアストラニアが介入した時、クロム達とは別の戦線にいたらしい。出身はドイツだっただろうか。
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