第4章》霧の森の戦い

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 数十秒後、ルルゥは驚愕する事になった。車体後部スペースの手すりにしがみつきながら叫んだ。 「うわあぁ!なにこれ!?」  装甲車は木々に車載の機関銃を撃ち込んでボロボロになった所をボディで挽き潰しながら前進していた。たまに砲撃をおこなってまとめて吹き飛ばす。車体やタイヤが倒木に乗り上げないかどうかが、クロムの一番心配するところだった。  魔法を使えるルルゥにとって銃の発砲音や爆発音は驚く程では無かった。が、馬も無しに動く鋼鉄の塊などは初めてなのだろう。 「どうやって動いてるのコレ!?」 「エンジンを知らないんですか!?というか口閉じないと舌を噛みますよ!?」  次々と木をなぎ倒しながら邁進する装甲車。木々から住処を追われた動物達が逃げ出してゆく。運転している方も、倒木を乗り越えるたびに激しい揺れに耐えなければならないため、クロムもハンドルにしがみつくように運転していた。  ――これでむちうち症になるとか、洒落にならない…!  クロムの足元から、へし折った木が車体底部をこするガリガリという音が聞こえる。理不尽にへし折られた木々のささやかな抗議にも聞こえた。
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