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「だ、団長!ゴーレムが固すぎます!」
「そりゃあそうだ、岩だからな!」
彼らの持つ剣や斧は、目の前の岩石の人形には効果が薄い。持ち主の背丈的にせいぜい膝のあたりしか攻撃できないうえ、岩石に刃物では分が悪い。火花を散らして弾かれてしまう。
「メイスを持ってくるべきだったか…」
メイスは、打撃用の武器だ。剣よりはよっぽどダメージを与えられただろう。
「今更でしょう…」
敵のワイバーンナイトはあらかた片付けることができたが、このゴーレムを相手にしている間に第2波が到着してしまうだろう。そうなったらおしまいだ。じりじりと後ろに下がりながらテノールが言う。
「今更ですが、あぁ、ルルゥがいれば一発なのになぁ…火炎系の魔法で…」
「逃げた奴の事なんて考えるな」
「…いやぁ、実際、はぐれただけじゃないですかね?」
「…まぁ、かもしれんが…極度の方向音痴だったからなぁ…」
ずしん、とゴーレムがこちらに近づいてくる。ゴーレムの関節部分からぱらぱらと砂が舞い落ちた。
「う………」
冷や汗をかきながら後退するバス達。しかし、これ以上退く訳にはいかない。その先にはリーナが居る。ゴーレムが片足を持ち上げた。踏み潰すつもりか。
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