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リーナがバスの後ろから装甲車を見て、不安げに聞いてきた。突然のことに驚き、おろおろとしている。
「これは、一体どういう…?」
その声を聞きながら、バスは判断のつきかねる状況に迷った。明らかに目の前の物体は怪しい。見るからにこの国のモノでは無い。ともすれば、ルルゥが帝国から奪ってきたのかもしれない。だが、帝国の罠では無いとも言い切れない。
しかし、どちらにせよこのままここに居てはジリ貧だった。どうせやられるならできるだけ足掻いてみようと、バスはこれに乗り込むことを決意した。
「乗るぞ。ルルゥがいるなら安全だろう。リーナ様、こちらに…」
「だ、団長!危ないですよ!」
テノールはそう言ってリーナを止めようとした。バスは構わずにリーナを呼び寄せる。
「ルルゥが無理をして嘘を言っているようには見えない」
「し、しかし、やはり怪しいですよ!やめたほうが…」
「ちっ…このまま乗らなくても全滅だ!つべこべ言わずに乗れ!」
そう言ってバスはリーナをその装甲車に乗せ、嫌がるテノール襟首を掴んで放り込んだ。
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