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そして、最後にバスが乗り込むと、耳障りな甲高い音と共に扉が閉じた。音に驚いたものの、今更どうともなるまいと近くにあった腰掛けに座った。テノールとリーナも、適当な場所に腰掛けた。そして、改めてルルゥを見つめる。
テノールが自身の剣を鞘に収め、傷だらけになった盾の調子を見ながら聞いた。
「助けて貰ってなんだけど…なんでルルゥはこんなモノに乗ってるんだ?帝国軍から奪ったのか?」
「あぁ、それは…色々事情があってね」
ルルゥはクロムと出会った経緯をバス達に話して聞かせた。霧の中リーナ達とはぐれて探し回っていたこと、黒い帝国兵に襲撃を受けたこと、危機に陥っていたところ、クロムが助けてくれたということを、順に説明した。
装甲車の外からは断続的な銃声や爆発音が聞こえてくる。クロムの敵を罵る声も漏れ聞こえてきた。しかし、リーナ達は今一つ納得できない。バスが太い眉をしかめながら唸った。
「ううむ、怪しいな。大体、旅の人がそう簡単にこんな辺鄙な所を通るのだろうか…盗賊だって出没するというのに」
「きっと急いでたんだよ!多分!」
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