第4章》霧の森の戦い

18/19

8296人が本棚に入れています
本棚に追加
/627ページ
 装甲車が敵兵を踏み潰し、はね飛ばしながら森の道を加速する。リーナとテノールは冷や汗を垂らしながら後部スペースの持ち手に掴まっている。バスはもう酔ったのか、ぐったりとしてしまっていた。ルルゥはそんなバスを介抱している。 「団長、しっかり!」 「なんだこれは…ヴォェ…揺れが…小刻みな…ヴぉぇ…」  主にバスが死屍累々な後部スペースの惨状には目もくれず、クロムは一心に森の外を目指した。 「どうか、思い過ごしであってくれ…!!」  ――俺にはやり残したことがアルハンに沢山あるんだ…こんな訳も分からん妙な世界に飛ばされて野垂れ死ぬのはごめんだ!  木々を避け、走り続けた装甲車は遂に森をぬけた。車体に取り付けられた後部カメラをちらりと見ると、今までクロム達居たと思われる森が画面いっぱいに広がっている。追っ手はいないようだった。  クロムは、装甲車の進行方向へ向き直った。これだけ走れば、何かしらの人工物があるはずだ。例えばビル、自動車、アスファルトで舗装された道路…
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8296人が本棚に入れています
本棚に追加