第5章》異界に立つ兵士

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 バスは信じられない思いでさっきまで自分達が戦っていたワールシュタットの森を見つめていた。  ――まさか、生きて出てくることができるとは…  全滅を覚悟していたのに、意外なほどあっさりと窮地を脱出してしまった。運命とは、分からないものだなと頭を掻く。  次に、バスの視線は彼らを乗せてここまで逃げて来た装甲車と、その側で呆然と月を見上げているクロムを捉えた。  ――それにしてもあの者は一体何者だろうか?  服の上からなので分かりづらいが、バス達剣士とは違う鍛え方をしているように見えた。剣を振るような体つきでは無い。己の拳を武器にしているわけでもないだろう。  あえて言うなら、ダガー辺りを使いこなしそうな体をしている。弓兵をやっていたのかもしれない。立ち方も、戦う者特有のどこか芯の通った立ち方だ。単なる冒険者と言うわけでも無いだろう。  次に、バスはクロムの格好を子細に観察してみた。
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