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ぱっと見は、その辺にいそうなごく普通の青年だ。白っぽい生地に灰色と黒の入り混じった不思議な模様の服を着て、肩を守るための肩鎧のようなものを取り付けている。なぜか布で表面を覆っている兜は、戦場で目立ちにくいようにしているようにも思えた。あとは太ももやら腰やらに何に使うのかよく分からない布の袋やら鉄の箱やらを取り付けている。
「あの服、どうやったらあんな風に織れるんですかね?染めたんでしょうか?」
隣にやってきてそう聞くテノールに、バスはさぁな、と答えた。
――先程の敵から逃げおおせたあの力…あれがあれば、カルヴァン公国の復活も夢では無い!
その為には、彼を味方に引き入れておく必要がある。もしただの冒険者なら、金や領地、貴族の称号をちらつかせれば飛びついてくるだろう。
――しかし、『それ以外』の時だったことを考えると、対応は慎重にせねばなるまい…
そう考えたバスはクロムをどうするか、その方法を相談する為テノールを引き連れて、会話しているリーナとルルゥのもとに鎧を鳴らしながら歩いていった。
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