第5章》異界に立つ兵士

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 緑に輝く月が空を染め、世界がほんのりと薄緑色に染まっていた。その光景が何とも幻想的で、ここが自身のいた世界では無いとクロムに確信させるには十分だった。  ――これから、どうする…?  何故自分がこんな所に居るのか、仲間は一体どうなったのか、これからどうすればいいのか…まったく分からず呆然としていた。クロムは良くも悪くも一般兵なのである。 「ここで小説や映画ならハッキリと自分の行動が決まるのになぁ…はぁ…」  クロムはそうぼやきながら頭を掻こうとして、ヘルメットにそれを阻まれた。ストラップはすでに外してあったそれをむしり取ると、腹いせに装甲車に投げつけた。  分厚い装甲に金属がぶつかる鈍い音がしてヘルメットが弾かれる。その音が何とも情けない音のようにクロムには聞こえた。 「あぁ…本当にどうすればいいんだ…」
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