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そして、クロムに向かって深々と頭を下げた。
「先程は、助けて頂きありがとうございました」
「あぁ、いえ…あの状況なら、助けに行くのが人というものでしょう」
「お優しいのですね」
「は、はぁ…」
曖昧に言葉を濁すクロム、先程は慌てていてろくに見ていなかったが、淡い緑色の月光に照らされるリーナは幻想的でとても美しかった。まだ信じ切れていないが、王族の姫君と言われて納得できてしまう高貴な雰囲気も感じられる気がした。
リーナの横顔を眺めるクロムの背後から、重そうな金属鎧を鳴らしながら、バスがやってきた。
「…旅の方とお見受けしますが、どちらへ行かれるのですかな?」
問われたクロムは戸惑ってしまう。どうみても旅人では無いだろうに。
「いえ…俺は旅人では無いんですが…」
「ほぅ…では、何のご職業で?」
クロムは少し話して良いものか迷ってから、こう答えた。
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