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「実は、軍人をしてまして…」
「ほう、どこのですかな?」
そう言った瞬間、バスが手に持っていた斧がクロムの喉元にあてがわれていた。背後からはいつのまに忍び寄ったのか、ルルゥもダガーを突きつけている。
「る…ルルゥ…?」
「ごめんよ、クロムさん…」
一瞬の間に起こった出来事で、クロムに対応する隙は無かった。隣では目を丸くしてリーナが立ち上がった。クロムが慌てて周囲を目だけで確認する。
「お、おいあんたら…どういうつもり…」
「動くな。動くとお前の首が飛ぶぞ」
と低くドスの利いた声でバス。
「悪いけどリーナ様は渡せないんだよね、帝国のスパイさん」
と、ダガーを突きつけながらルルゥ。勿論クロムには心当たりがない。
「…はぁ!?」
動け無いクロムに代わり、リーナが立ち上がって言う。焦ったようにバス達を見た。
「あ、あなた達、剣を引きなさい! 何をしているのです、早く剣を納めなさい!」
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