第5章》異界に立つ兵士

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「実は、軍人をしてまして…」 「ほう、どこのですかな?」  そう言った瞬間、バスが手に持っていた斧がクロムの喉元にあてがわれていた。背後からはいつのまに忍び寄ったのか、ルルゥもダガーを突きつけている。 「る…ルルゥ…?」 「ごめんよ、クロムさん…」  一瞬の間に起こった出来事で、クロムに対応する隙は無かった。隣では目を丸くしてリーナが立ち上がった。クロムが慌てて周囲を目だけで確認する。 「お、おいあんたら…どういうつもり…」 「動くな。動くとお前の首が飛ぶぞ」  と低くドスの利いた声でバス。 「悪いけどリーナ様は渡せないんだよね、帝国のスパイさん」  と、ダガーを突きつけながらルルゥ。勿論クロムには心当たりがない。 「…はぁ!?」  動け無いクロムに代わり、リーナが立ち上がって言う。焦ったようにバス達を見た。 「あ、あなた達、剣を引きなさい! 何をしているのです、早く剣を納めなさい!」
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