第5章》異界に立つ兵士

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「ぐっ…」  ――こいつら、本気だ…!本気で俺を殺そうと…  そう理解した時、クロムの中で何かが切り替わった。  ――ここはおそらく異世界…自分の身は自分で守らなければ、やられる!  それは、ここしばらく使っていなかった、実戦の感覚だった。周囲を目だけを動かして確認する。  ――周囲に使える物は無しか…  そして背後にいるであろうルルゥに意識を集中させる。クロムの背にダガーを突きつけているルルゥだが、躊躇いがあるのか少し震えている。 「ルルゥ」 「…何?」 「躊躇ったら駄目だ。隙をつかれるぞ?」  突如、クロムは後ろ手にルルゥのダガーを持つ手首を掴み、捻り上げる。 「っ!?」  驚いてダガーを取り落とすルルゥ。クロムは落としたダガーを遠くに蹴り飛ばしつつ立ち上がり、バスへの盾となるようにルルゥを拘束し、太股のホルスターから拳銃をを抜き放つとルルゥの頭に突き付けた。 「動くな。殺させないでくれよ?大体、スパイだなんて…もしそうだったとして、何かやるつもりならもっと前からやってたね。俺は多分、あんたらが背中を見せていた時にあんたらを殺すことができただろう」  バスは唖然としてクロムのその挙動を見ていたが、観念したかのように立ち上がり…
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