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クロムは言って信じてもらえるかどうか心配しながらも、アストラニアについて語った。
科学技術を使った兵器が主武装で、魔法やドラゴンのようなものは空想の産物であるとされていること、そして恐らく、異世界であるということ。ルルゥはそれを聞いて目を丸くした。
「異世界?…異世界へ扉を開く魔術は、いまだに成功した国が無いという噂だけど…そっかあ、魔法が無い世界かぁ…想像できないなぁ…」
「なる程、異世界の国ならこの強さ、有り得るやも知れん…」
「そんな事が、本当にあるのですね…」
どうやら、そういう不思議な出来事もあるのだという方向で信じて貰えそうだった。話が終わった辺りで、完全に夜であることを考えたクロムは野営を提案した。
「とりあえず、今日はこの辺りで野営しましょう。…寝袋あったか?リーナさんとルルゥは装甲車の中で寝て下さい。我々男は外で寝ますよ」
「あの装甲車とやら…全員は寝れないのか?」
騎士道精神の塊のようなバスにしては珍しい発言に、クロムは不思議に思って聞いた。
「乗れますけど…どうして?」
「私も分けておきたいのだが」と、バスは話し始めた。
「この辺りには凶悪な魔物がうろうろしていてな…野営していた旅人達が度々食われているのだよ」
その日クロムは、バス達が後部スペースで寝るのを尻目に、運転席で眠るハメになった。
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