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次の日、クロムとリーナ達は共に朝食をとっていた。クロムは手持ちの食料が軍用レーションしか無かった為物足りなく感じ、リーナ達から貰ったライ麦パンとその辺から摘んできた野苺も食べている。パンは固く、野苺はまだ熟れていなかったが、空腹だったクロムはそれすらもご馳走だった。パンと交換したレーションを食べたリーナ達は一様にまずそうな顔をした。ルルゥがベージュ色の固形物を付属品のフォークでつつきながらため息をつく。
「クロムさん、こりゃあ不味い、マズすぎるよ…よくこんなもの食べられるね…」
「俺だって好き好んで食ったりしないさ、非常食なんだよ、これは」
暫く互いの国の事を話した後に、ルルゥが聞いた。
「で、クロムさんはこれからどこに行くつもり?」
「うーん…いや、正直どこに行くべきか迷ってるんだよな…味方が居るかどうかも分からんし」
そう言ってクロムは傍らに広げてあるテノールが持っていた地図を眺める。カルヴァン公国周辺の地図のようだ。
正確さに欠ける絵地図ではあったが、有るのと無いのとでは大違いである。ただ、この世界の事を全く知らないクロムは、暫くはリーナ達について行ってみるかと考えていた。
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