第5章》異界に立つ兵士

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「ん?雨ですかね?」  テノールが空を見上げつつ、声を出す。 「空気も乾いてますし、黒雲も見受けられませんね…空耳かな?」 「天気雨でしょうか?」  同じく空を見上げていたリーナが何かを見つけた。慌てたように空を指さす。 「あれを!空に何かがいます!」  クロムがリーナの指差す方向を見上げると、かなりの上空に赤い何かが見えた。数は3。トカゲのような体に、巨大な羽。クロムは昨夜これの色違いをワールシュタットの森で見ている。バスが目を細め、叫んだ。 「…っ!?帝国のワイバーンナイトだ!」 「あれは、もう見つかっていますね…」 「早く装甲車の中に!」  クロムに言われ、装甲車の中に逃げ込むリーナ達。クロムは装甲車の上部ハッチを開けると12.7ミリ重機関銃の残弾を確認する。ベルトリンクを差し込むと、機関銃のチャンバーを引いた。ガチャリという重い金属音と共に、初弾が装填される。 「…当たるかな?対空射撃なんて想定してないぞ…」  手動の対空射撃の命中率は低い。雷のような音は徐々に近付いてきていた。クロムは舌打ちをしながら機関銃を帝国のワイバーンナイトに向けた。 「クソ、雨で高度を下げてくれると助かるんだが…」 ・
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