第5章》異界に立つ兵士

22/30
前へ
/627ページ
次へ
『隊長、ここはどこなんでしょう?』  今ベクトル隊の眼下には緑に覆われた草原と森林、雄大な川が広がっていた。都市の影すら見えない。周囲を見回しても、見渡す限りの大自然だ。 『分からん。マップの詳細データが無い』 『基地との連絡は?』 『つかん。今度はジャミングとかじゃなく、反応すらない』  彼等の意識が回復したのはついさっきだ。それまではオートパイロットで飛行していたらしい。どれ位飛んでいたのか…先程までは都市の上にいたのに、一体どうなっているのか。そもそも、アストラニアにこんな地形があっただろうか? 『隊長!友軍の地上部隊の反応を確認しました!』 『何っ!?』 『陸軍の装甲車ですね』  ――この状況について何か知っているかもしれない。  そう考えたベクトル1は装甲車に無線周波数を合わせようとした、その時。 『友軍が発砲!』 『地上の装甲車が対空射撃を行っています!…何を撃っているんだ?』
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8296人が本棚に入れています
本棚に追加