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「ひぃ~~~~~~~っっ!!」
大きな悲鳴が、静けさに鋭く爪を立て、私もまどろみから引き戻された。
が、
それは、短く響いただけで、あとは続かなかった。
聞こえなかったのか、職員室にも反応がない。
あたかもその悲鳴は、夢?幻?
いや、そうではない。
なぜならば────その悲鳴を耳にし、校内のあちこちから集まってくる5つの人影があったのだから。
だがしかし────
悲鳴を耳にしたのは、その五人だけではなかった。
校内のあちこちに潜む影たちまでもが、その悲鳴で目を覚まし、そして、暗がりの中でじっと畏まっている。
音楽室の暗がりでは、ピアノの悲しい音色を奏でる蒼白い亡霊が──
更衣室の暗がりでは、天井からぶら下がり、舌なめずりをしている妖怪が──
3ーB教室の暗がりでは、死んでもなお、思いを残す少女の霊が──
理科室の暗がりでは、ギシギシ手足をきしませる人体模型が──
裏庭の暗がりでは、死体に根を張り、血のような赤い花を咲かせる桜の精が──
じっと六人を窺っている。
こうして、怪奇と戦慄の一夜が、ここに幕を開ける。
──清水高校、七不思議。
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