3人が本棚に入れています
本棚に追加
「聞いたぁ?ゆうべ、夜警のひとが見たんだって。幽霊がピアノ弾いてるの」
いつもの時代であろうが、学校の怪談話に、音楽室は欠かせない。
高校なのに…(笑)
曰く、「ピアノがポロンなるんで、なかをみたら、女子のバラバラ死体が入ってて、滴る血が鳴らしたんだってさ。ここにいるって知らせたかったのね、きっと」
曰く、「あのバッハやハイドンの絵。音程違うと、ジロリと睨むそうよ」
そして今は、ピアノを弾く幽霊の噂でもちきりであった。
「それって、演奏会直前に死んだ生徒の霊なんだってさ」
「そのピアノ聞いた人は、7日以内に狂っちゃうんでしょ」
「え。私は死ぬって聞いたけど」
噂はどんどん膨らんでいく。
「私が聞いたのは、ちょっと違うな。弾いてるのは、死んだ音楽のセンセイなんだってさ。ホラ、あの人」
そう言って、壁の額を示す。
──どうしてそんな話になるのだろう。
「あの隅っこの?前から気になってたんだ」
「あ、私も。有名な作曲家の中に、一枚だけ混じってるじゃん。意味ありげにさー」
最初のコメントを投稿しよう!