一人旅。僕は見送る。

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一人旅。僕は見送る。

無常にも、刻まれ その日は間近に。 「恐らく あともう少しで 扉は閉まります。駆け込み乗車はご遠慮ください。」 発車ベルは世界の終わりを告げる。 「どうか、行き先をお間違えなく。」 ホームが終わる端まで君を見送りたいけど 誰よりも否定して受け入れられないんだ。 笑顔を思い出せなくて。 路線確認をひたすら繰り返す。 巡るのは、君の笑顔だけなのに。 絡まったその鎖をほどいて棄てたら 電車は到着遅れをアナウンスするだろうか。 「二つ前の駅を出発しました。間もなく到着いたします。どうかお忘れ物、未練のないように。」 .
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