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空は自分の部屋の天井を仰いでいた
『進司もか…』
帰り道での会話を思い出す
共通点は毎日同じ夢だということ
『空、ご飯よ!』
ドアの向こうから母の声が聞こえる
『進司と食べてきたからいらない』
『そう!じゃあ、お母さん一人で食べるからね!寂しく食べるからね!?』
『どうぞ!』
空の母は一人で食べ始める
空の家族は空と母の二人きり
いわゆる母子家庭だ
父は空の物心つく前に交通事故で亡くなった
お通夜の後に空を見ながら
突然父の話を始めた
『空のお父さんはね、とてもかっこよくて…』
と言いながら、涙を目に浮かべて
『お母さんのことをとても大事に、愛してくれていたのよ』
と言った…
それは震える声だった
だから母さんは再婚もせずに一人でオレを育ててくれた
そんな母を空はとても愛していた
空は机に突っ伏し、ゆっくり目を閉じる
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