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晶暦2030年 ラストリア帝国
帝都・ハルティス
「ルティナ様!ルティナ様!何処にいらっしゃるんですか?」
一人のメイド服姿の女性が誰かの名前を呼びながら走りまわっていた。
「もう・・・、いったい何処へ?」
溜め息をついている女性の後ろから、そろりそろりと一つの影が近づく。
「わっ!」
「っ!ルティナ様!!」
後ろからの声に肩を跳ねあげた女性が眉を吊り上げる。
「もう!何してらしてるんですか?今、どんな状況かわかってるんですか?」
「わ、わかってるよ!晶精石を守ってる貴族の家が襲われてるんでしょ?」
「そうです!だから、勝手に出歩くのは控えろと旦那様にも奥様にも言われているでしょう」
「そうだけど、私の家は大丈夫だよ。お父様が率いている騎士達は強いし、何より此処は帝都だよ。帝国軍だっているんだから」
「まあ、だからといって絶対安全という保証はありませんがね」
「もう、どうしてそういうこと言うかな、サリアは」
「最悪の事態も考えておくべきです。とにかく、屋敷へ戻りましょう。旦那様がお呼びですよ」
「ちょっ、それを先に言ってよ!」
サリアにそう言うと、ルティナは走り出した。
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