第一章

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『贅沢』 鳴海から送られた言葉が頭を埋める。 私はそんなに贅沢なのだろうか? 私を好きでいてくれる子に応えられないことは、もちろん悪いなとは思ってる。けれど、そこまで言われる筋合いはない。私は、私が好きな人を想っているだけだ。 そう頭の中で言い聞かせていた。そうでもしないと、また涙が零れそうだった。 今日も、鳴海からメールがくる。 いつものやり取り、変わらない会話。 彼女は毎日断られて虚しくはならないだろうか?悲しくはならないだろうか? ──私なら。私なら、あの人に毎日拒否されたら、辛くて死んでしまいそうだ。毎日泣いて、目の周りを真っ赤にして。 いや、きっと嫌われるのが怖くてメールすら送れないと思う。嫌われるぐらいなら、私は何も伝えない。 .
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