プロローグ

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『ずっと貴女のことが好きでした』 始まりは、女の身である私が、同じく女である、彼女を好きになったことから。 『返事は要りません』 この内容を、その人に送った。年が明けてすぐのことだ。それから、二日が過ぎ、三日が過ぎた。メールの返信はこない。 『要らないなんて送らなきゃよかったなぁ…』 布団に潜り込んでそんなことを頭の中で呟く。 私は彼女が好きだった。性別とか、住んでるとことか、そういうの全部除けて、彼女のことが本当に好きだった。 彼女に好きな人がいることも知っていた。彼女が胸を痛めるほど好きな人。 純粋に羨ましかった、彼女にそんなに想われるその人が。私なんかでは、そんな人に敵うはずがない。そう思いながらも、心のどこかではもしかしたらその人は自分のことかもしれないなんて都合のいいことを考えていた。 そして一月、気が付くと私は携帯の送信ボタンを押していた。 何度も何度も読み返した告白のメール文。日本語は間違っていないか、失礼なことは言っていないか、これで相手に伝わるか ……やっぱりやめた方がいいんじゃないか。 全ての感情が頭の中でぐるぐると巡っていた。 .
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