close line : 仁科 薫

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「青葉製紙前の森林公園です。警察が出入りしていますから立ち入り禁止区域に近づいてくれば、会えます」 「わかりました」 「笹丘さん、九音寺くんですが・・・・」 「私が行くまで、お願いします」 すぐ、行くから。 そう言って、鈴が一方的に回線を切った。 零の状態について、伝える暇もなかった。 ただ、零に何かが起こっている。助けを必要としている。 そのことは、最初から理解しているようだった。 時々、この二人はこの二人の間でしか共有できない「何か」で繋がっているような気がする。 言葉ではない。動作ではない。 空気のように目に見えない、だけど確かにあるもので。
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