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「事件性が疑われるので、司法解剖待ちですが、遺体には不自然な点も多くてですね」
さらりと言って、仁科が一瞬、ブルーシートの区画に目をやる。
現場検証時の様子を正確に思い出そうとしているようだった。
「座って亡くなっていたのもそうですが、まず、凶器になった刃物が見あたりません」
「・・・誰かが持ち去ったって事ですか」
鈴の問いに、仁科が頷く。
「そうですね。それだけでも第三者の関与が疑われるでしょう。それから、体中に暴行の跡があった割に、衣服が綺麗に整えられていました」
「暴行・・・?」
「殴る蹴る、の暴行です。
一見目立つ所には無いのですが、服で隠れた場所に複数。
もみ合ったときに傷ついたのか。
いずれにしても暴行を受けた後のような衣服の乱れがなかったので、それも不自然だなと思いましたね」
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