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何も言わず、微動だにせず、裸眼のまま青い顔で立ち尽くす零を見かねて、仁科はとうとう手元の携帯から二つ目の連絡先を呼び出した。
笹丘鈴。
仕事上、手に入れた連絡先は、例え個人的に教えられた物でも、公務以外では使用しない。
そんなささやかな信条を曲げてのコールだった。
数回目の呼び出し音の後、眠たそうな鈴の声が「はい」と応答した。
仁科です、と名乗ると、びっくりした様子で改まった。
誰からの着信なのか、見ずに出る癖があるらしい。
「突然すみません。高村雪江さんが」
感受性が豊かで人の痛みに一々傷つく鈴を思って、一瞬、事実をどう伝えるか、迷う。
しかし的確な言葉が見つからずに、仁科は結局一番現実的な言葉を選ぶしかなかった。
「・・・・遺体で発見されました」
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