close line : 仁科 薫

9/11
前へ
/276ページ
次へ
「だっているでしょう」 当然のことのように、鈴が応える。 「いますけど・・・なんで」 「なんでって。・・・・・あれ、何でだろう。でも私、九音寺くんの所に行かないと。九音寺くんが呼んでる」 (呼んでる?) 先ほどから変わらず動かない零の背中に目を向けて、仁科は首を傾げた。 零が鈴に連絡した様子はなかった。 それどころか、自分が電話した時、鈴は寝起きのようだった。 「仁科さん、答えて。どこに行けばいいの」 急かすような鈴の言葉に未消化の思考を一端、押さえ込む。 とにかく、話が早いのは助かる。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2847人が本棚に入れています
本棚に追加