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「俺は守田さんとペアが良かった」
エレベーターを待っている間、境田は愚痴をこぼす。
独り言のようで、明らかに椋に向かっていっているようだった。
もっとも、顔はエレベーターに向いたままだったが。
「境田さん、そっち系?だから彼女いないんですか?」
「はっ倒すぞ」
目線だけ椋に向けて人睨みする。
「こっわ…冗談じゃないですか」
「女は嫌いだ」
なかなかこないエレベーターにイライラしだしたのか、境田は壁を指でトントンとしだした。
「何でですか?」
「すぐ泣くし、怒る。わがままで好き好きいっときながらころっとすぐ心変わりする」
「そーゆー目。手ぐせ」
言いながら境田の目と手元を順番に指差す。
「普通は怖いとか、何で怒ってるのとか思いますよ?境田さん、自分の行動に原因かあるとか、顧みた事あります?ないのなら、それは勝手です」
一瞬呆気に取られた境田は驚いたように目を見開いた。
「あっきましたよ。
それに…相手の気持ちを考えなさすぎなんですよ、境田さんは。好きならもっと考えられた筈です」
乗り込みながら尚も言う椋に一瞬押され気味だった境田だったが、気付いたように頭を鷲掴みする。
180センチある境田にとって、158センチしかない椋は正に子供のようだった。
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