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「申し訳ない、配慮が足りなかった」
ポケットから取り出した絆創膏を銀蔵に渡す境田。
「やぁ…んなことたぁ…ありがとうなぁ、絆創膏」
「落ち着いて戻ってきたら、また話聞かせてください」
「わかっとるよ」
そう言って片手を上げて管理人室に入っていった。
銀蔵も直にみた遺体に戸惑いを隠せないのだ。初めの態度はあくまで虚勢を張って強がっていたに過ぎないのだ。
現に管理人室に入っていく銀蔵の背中は5歳程老けたようにさえ感じた。
「手紙があったなんて…何がしたかったんでしょう…」
「そうだな…」
境田は手紙を丁寧に封筒にしまう。
「とりあえず、これ主任に見せてきてくれ」
「はい。境田さんは?」
「あぁ…ここにいる」
「わかりました。行ってきます」
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