(2)

14/14
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
椋は境田のそういうところを尊敬していた。 言葉だけじゃなく、伝わる思いやり。 きっと銀蔵は扉を開けて境田がそこにいてくれるだけで、少しは救われるのだろう。 「平!!」 「…田中さん…なんですか?」 現場に戻るなり直ぐに怒鳴られる。 「なんだ、その嫌そうな言い方は。あっ…れ?境田さんは?」 キョロキョロと周りを見渡して言う。 どんだけ好きなのよ、と椋は心の中で悪態つく。 「仕事中です」 「知ってるわ!!どこにいるんだっていってるんだよ」 「管理人室です。話を聞いてます」 「お前は?!」 「主任にお知らせがあって!!きました!!境田さんの指示ですけど、何か?!」 イライラした椋は田中に噛みつくように言う。 田中は境田の指示だと知ると小さく舌打ちをして、中に入っていった。 「なんであいつの目の敵にされなきゃいけないのよ」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!