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椋は境田のそういうところを尊敬していた。
言葉だけじゃなく、伝わる思いやり。
きっと銀蔵は扉を開けて境田がそこにいてくれるだけで、少しは救われるのだろう。
「平!!」
「…田中さん…なんですか?」
現場に戻るなり直ぐに怒鳴られる。
「なんだ、その嫌そうな言い方は。あっ…れ?境田さんは?」
キョロキョロと周りを見渡して言う。
どんだけ好きなのよ、と椋は心の中で悪態つく。
「仕事中です」
「知ってるわ!!どこにいるんだっていってるんだよ」
「管理人室です。話を聞いてます」
「お前は?!」
「主任にお知らせがあって!!きました!!境田さんの指示ですけど、何か?!」
イライラした椋は田中に噛みつくように言う。
田中は境田の指示だと知ると小さく舌打ちをして、中に入っていった。
「なんであいつの目の敵にされなきゃいけないのよ」
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