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助手席に置いていた自身の荷物を後部座席に投げ入れ、椋に助手席に座るように顎で指す。
車の前を通って反対側に回った椋はおぼつかない手でドアを開けた。
「何を持ってきてるんだ」
「朝ごはんです!さぁ、発進してください!!」
「朝からガッツリだな…匂いだけで吐きそうだ」
そう言って顔をしかめながら、エンジンをかける。
椋がシートベルトをしたのを確認してから、ゆっくりと発進させた。
「とうまはん…あは、よはいんでふね」
「何を言ってるんだよ…口の中無くなってから喋ればいいから!」
急いで咀嚼し飲みこむ。
「藤間さん、朝弱いんですね」
「何で」
「だって、これで吐きそうなんでしょ?」
これ、と言った時にこれであるカツ丼を藤間に向ける。
「うぅっわ…やめろお前…!くっさいくっさい!!」
「えぇー…藤間さん、女の子みたい」
「寝起き五分でカツ丼食べるお前が異常だわ!」
しっしっと手でカツ丼を払い除けて、窓を開ける。
「やだ!!寒いです!」
「なら早く食い終われ!!油臭くてょうがないんだ!!」
ぶぅーと拗ねてから、またガツガツとカツ丼を食べ始める椋を見て、また藤間は吐き気を覚えた。
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