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『おはよう、要君』
背中を叩く男の声に、振り返る事なく歩き続ける。
彼は入学式当初から、要にくっついている、原田 達也である。
茶髪の髪に、大きな瞳、人懐っこい笑顔が憎めないヤツだ。
本心が読める要が、今までに友達など作れる訳もなかったが、達也の心の声は、唯一悪意や欲がなかった。
達也 「要~~、無視すんなよ~~。
この円らな瞳から真珠の涙が溢れるだろ~」
『まったくツレない奴だぜ~…』
『 』内は要に聞こえる心の声である。
要 「はいはい、おはよう」
達也 「また心ない返事しやがって……。
ところで要君、君は課題をやって来たかね?」
『まあ、いんだけどさ…。
それより課題写させて貰わないとっ』
要 「やだ」
達也 「な、何が『やだ』なんだよ……」
『まだ見せてくれって言ってないよな………』
要 「お前の考えそうな事なんて、聞かなくてもわかるんだよ」
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