第一話

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『おはよう、要君』 背中を叩く男の声に、振り返る事なく歩き続ける。 彼は入学式当初から、要にくっついている、原田 達也である。 茶髪の髪に、大きな瞳、人懐っこい笑顔が憎めないヤツだ。 本心が読める要が、今までに友達など作れる訳もなかったが、達也の心の声は、唯一悪意や欲がなかった。 達也 「要~~、無視すんなよ~~。 この円らな瞳から真珠の涙が溢れるだろ~」 『まったくツレない奴だぜ~…』 『 』内は要に聞こえる心の声である。 要 「はいはい、おはよう」 達也 「また心ない返事しやがって……。 ところで要君、君は課題をやって来たかね?」 『まあ、いんだけどさ…。 それより課題写させて貰わないとっ』 要 「やだ」 達也 「な、何が『やだ』なんだよ……」 『まだ見せてくれって言ってないよな………』 要 「お前の考えそうな事なんて、聞かなくてもわかるんだよ」
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