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校長の長い挨拶が続く中、しんと静まっている体育館には、生徒達の心の声がざわめいている。
『一年に可愛い子が入ったらしいな』
『やっぱ一年の男子は、見るからにお子ちゃまよね~』
『一年の瀬戸ってどれだ?』
『瀬戸 真琴』
『瀬戸 真琴』
瀬戸 真琴がどれだけ可愛いのか知らないが、これだけ噂される女なら、中身は腐ってるさ。
可愛いだの言われてる女達が、日頃何を考えているのか教えてやりたいね。
漸く式も終わり、うるさかった心の声に、いつもの騒音が加わり、要の耳を直撃する。
この頭を割りそうな騒音に、何度倒れそうになったかわからない。
早くここを出たい……。
出口を目指して、早足になる。
「ぶはっ!ウゥ………あ、ごめんなさいっ!」
要 「いや……」
要の胸ぐらいの位置に、女の子の顔があった。
背が小さく、柔らかそうな栗色のウェーブがかった長い髪。
リスのようなクリッとした大きな瞳に、ポッテリしたピンク色の唇。
『瀬戸 真琴だ!可愛いな~♪』
要の隣にいた達也の心が大騒ぎしている。
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