第一話

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校長の長い挨拶が続く中、しんと静まっている体育館には、生徒達の心の声がざわめいている。 『一年に可愛い子が入ったらしいな』 『やっぱ一年の男子は、見るからにお子ちゃまよね~』 『一年の瀬戸ってどれだ?』 『瀬戸 真琴』 『瀬戸 真琴』 瀬戸 真琴がどれだけ可愛いのか知らないが、これだけ噂される女なら、中身は腐ってるさ。 可愛いだの言われてる女達が、日頃何を考えているのか教えてやりたいね。 漸く式も終わり、うるさかった心の声に、いつもの騒音が加わり、要の耳を直撃する。 この頭を割りそうな騒音に、何度倒れそうになったかわからない。 早くここを出たい……。 出口を目指して、早足になる。 「ぶはっ!ウゥ………あ、ごめんなさいっ!」 要 「いや……」 要の胸ぐらいの位置に、女の子の顔があった。 背が小さく、柔らかそうな栗色のウェーブがかった長い髪。 リスのようなクリッとした大きな瞳に、ポッテリしたピンク色の唇。 『瀬戸 真琴だ!可愛いな~♪』 要の隣にいた達也の心が大騒ぎしている。
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